いびつな犬
おれは、いびつな犬
脚四本とも、木の棒だ
尻尾も、お飾りで
安っぽい、子供の玩具が
ぶら下がっているだけだ
コツン、コツン
杖をつくように、歩いていると
みんな、その音に気付いて
こっちを見るけど
やめてくれないか?
おれを観察するのは
特に、足下を見るのは
そして、聞きたくもない
感想を言うのも
やめてくれないか?
お願いだから
笑ってくれるな
同情してくれるな
そっと、しておいてくれ
たとえ、転んで
起き上がれそうにない時でも
そっと、しておいてくれ
おれは、いびつな犬
ちゃんと、自覚している
前世の罰とも、思っていないし
素晴らしい来世への助走とも、思っていない
おれは、ただの、いびつな犬
お願いだから
そっと、しておいてくれ