詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

センセイ、自分の意志で象牙の塔を飛び出るが、再び、引き篭る結果に

 

大勢の子供たちが

象牙の塔にいる

センセイの悪口を言う

 

センセイは怒って

塔の、最も高い階から

あるだけの本を投げつける

 

子供たちは、素早く

本の届かない場所へと、避難する

そして、再び、センセイの悪口を言う

 

センセイは、完全に理性を失い

どうせ、子供たちに当たることはないのに

全ての本を、投げつけてしまう

 

塔の周囲には、本の山

 

センセイは疲れ切って

そのまま、気を失ってしまう

 

ズル賢い子供たちは

山積みにされた本を、古本屋に売り

大変な額の小遣いを手に入れた

 

「ああ、一冊も本がない!

 これでは、勉強が出来ない!」

 

センセイは、そう嘆いて

象牙の塔から、発作的に飛び降りた

 

それを目撃した子供が一言

「あれは、売り物にならない」

 

月日は流れて、象牙の塔は

子供たちの秘密基地となっていた

 

白骨化したセンセイの遺体は

漫画雑誌で出来た、ベッドに寝かされ

玄関先のオブジェとして飾られ

 

もう、子供たちの秘密基地の一部でしかない