死への憧れ、百年間、秘めていた思い
ある小さな街の駅に
大きな時計台が建っていた
彼は、大勢の人たちの前で
生誕百周年記念の、こんなスピーチをした
「私は、これまで
時計として生まれ、時計として働き
一生懸命、皆さんに、お仕えしてきました
そんな私ですが、ここだけの話
実は、何度も、何度も
頭の方が、おかしくなりかけていました
とにかく、時間にだけは
正確だった私ですが
機械的かつ、忙しい日々に
情緒不安定になった、その回数に関しては
まるで、覚えていないのです
皆さん、百年間
同じ行為をし続けることを
ちょっと、想像してみてください
並の精神力では、耐えられません
もし、今後、私が故障しても
絶対に、修理しないでください」