詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

アイデンティティクライシス、油断も隙もない世界

 

夏の暑さに弱い、飴猫は

太陽の熱にやられ、身体が溶けだしていた

 

それを修繕するため

知り合いの、飴職人の店を訪ねた

「もう、こんなに溶けちゃった

 形を整えてくださいな」

 

十分後、飴職人のイタズラで

飴猫は、鼠の形に変えられていた

 

その姿を、店にあった鏡で見た

飴猫は、「酷い」と呟いたあと

余りのショックで、倒れてしまった

 

そして、飴猫は

そのまま、死んでしまった

 

「・・・アイデンティティクライシス」

という言葉を、最期に残して

 

余談だが

ただの大きめの鼠となった

飴猫の遺体は

 

結果として、彼を殺してしまった

飴職人の店に、今も商品として並んでいる

 

このタチの悪い、飴職人には

自分の悪趣味なイタズラで

飴猫をショック死させてしまった

反省やうしろめたさなど

 

砂糖一粒ほども、ないようである