詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

敬愛する団栗博士よ、さようなら、そして、おめでとうございます

 

団栗博士と、団栗新助手の仲は

深まる一方で、私、団栗助手は

もはや、ただの邪魔者に過ぎませんでした

 

「団栗助手、君が今

 ここを辞めてくれるなら

 退職金は本来の倍、出そうと思うのだが

 どうだろう?

 もちろん、君の意志も尊重するがね」

 

終わった

 

私は、そう直感しました

 

そして、団栗博士や

団栗新助手の前では

強がって、笑顔を見せていましたが

 

自分の荷物をまとめて

住み慣れた診療所を出ると

勝手に涙が、溢れ出してきて

しばらく、止まらないのでした

 

 

三ヶ月後、私、団栗助手は

ある大きな製薬会社の研究開発部に

就職が決まり、団栗研究員となりました

 

同僚団栗たちに

私が、つい、この間まで

あの団栗博士のもとで

弟子同然で、働いていたことを話すと

「それは凄いね、あのお方は

 日本の団栗医学界の宝だからね

と、みんな羨ましがります

 

もちろん、私と団栗博士との

真の関係は、秘密にしています

 

私は、彼の秘密を世間にバラすことで

復讐を果たしたつもりになるような

安っぽい団栗ではないのです

 

 

「今日、団栗博士が

 日本団栗で初めて

 偉大な団栗に贈る賞・医学部門の

 審査委員長に就任することが

 正式決定しました!」

 

私が、ぼんやり

テレビのニュースを眺めていると

あの見慣れたログハウス風の建物に

大勢のマスコミ団栗たちが押し掛け

取材している様子が、映っています

 

そこには、私にとって

いくら憎んでも憎み足りない

あの団栗新助手の姿も、映っています

 

団栗博士は、満面の笑顔で

マスコミ団栗の、ある質問に対して

こう答えました

 

「私が結婚しない理由ですか?

 若い頃から、研究と治療に明け暮れて

 気付いたら、もう

 お爺ちゃんになっていた

 ただ、それだけのことですよ

 そんなつまらない話より、私は

 医学に関する話をしたいんだがね」

 

さようなら、団栗博士

そして、おめでとうございます

皮肉ではなく、心から、そう思っています

 

私は、貴方を

世界で最も愛した団栗とし、誇りを持って

 

これからも、貴方を、見守り続けます