詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

ある歴史上の人物の成功以前

 

真昼の大都会に、露出狂が現れた

 

上半身は、シャツを着ていたが

下半身は、丸出しだった

 

街は、騒然としていた

 

そこへ、一人の警官がやって来て

空に向け、拳銃を撃った

 

人々は、その銃声で、シーンとなった

 

警官は、人々が注目する中

「市民の皆さん、この男にパンツを!」

と、それは大きな声で訴えた

 

多くの市民が、それに応じた

 

すぐ近くにあった衣料品店が

開店以来の大混雑となった

 

そこでパンツを買った者は

「このパンツをはきなさい」

と、皆、男にそれを差し出した

 

中には、「私ので良かったら」

と、自分のパンツを、その場で脱いで

肩にかけてやる者までいた

 

露出狂は、抱えきれない数のパンツを

見知らぬ人たちから受け取り、感動し

目からは、涙がこぼれていた

 

露出狂は、パンツを何枚もはきながら

堂々、市民の前で、こう宣言をした

 

「もう、絶対に、公共の場所で

 陰部の露出なんて、致しません!」

 

嵐のような、拍手が巻き起こった

 

こうして、心を入れ替えた露出狂は

この事件を切っ掛けに

誰もが知っている、あの歴史上の人物へと

変貌を遂げる訳だが

 

それはまた、別の話