詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

自業自得、度を超えた悪戯の報い

 

妖怪・笊蟹坊主は

大きな笊に、生きた蟹をいっぱい入れ

胸に抱えている、少年の妖怪で

 

人間と遭遇すると

「この蟹を食いなされ

 五匹くらい掴んで

 何らかの容器に入れなされ

 家族へのお土産にしなされ

 帰ったら、釜茹でにしなされ

 爪や脚を折って、しゃぶりなされ

 甲羅を剥がして、ミソをすすりなされ」

と、止まらない早口で喋りながら

蟹の入った笊を突き出す

 

「それじゃあ、戴こうかな」

と、人間が、笊に手を突っ込んだ瞬間

 

中の蟹たちが、鋭い鋏で

その手の皮膚を、ズタズタにする

 

そして、笊蟹坊主は

高笑いしながら、こう言う

「こいつらは、みんなオイラの友達!

 茹でて食うなんて、とんでもねえ!

 オイラの髪の毛、いつも誰に

 カットしてもらってると思う?

 こいつらにやってもらうんだ

 そういう関係なんだ

 お前ら、人間が思っているより

 ずっと、絆が深いんだ!」

 

手が血だらけになった人間は

「どうして、こんな悪戯を?」

と、痛みを堪えながら、質問する

 

「そんな風に、手が真っ赤になれば

 茹でられた蟹たちの気持ちも

 分かるでしょうが!

 もう、蟹を食うなんて

 野蛮なことは、やめなされ!」

 

笊蟹坊主は、そう警告して

この場から、逃げ出そうとするが

大きな笊を抱えているせいで

走り出すと、たいがい、転んでしまう

 

「やめなされ!

 野蛮なことは、やめなされ!」

地面に倒れ、腰を抜かし、後退りしながら

笊蟹坊主は、そう必死に訴え続ける

 

血だらけの人間の拳を

一発、二発と、顔面に受けつつ・・・