詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

茂木健一郎の日本のお笑い批判とテレビの地上波批判の矛盾と抽象性について

 

 脳科学者の茂木健一郎氏の、日本のお笑い並びにテレビの地上波放送に対する、かなり刺激的な見解と発言が、批判の的とされた、お笑い芸人たちを中心に論争となり、各メディアの注目を集めているようです。

 

「日本のお笑いは、終っている」

「日本のメジャーな芸人は、国際水準にない」

「日本の芸人は、上下関係と空気を読むことで生まれる笑いに終始している」

「日本のお笑い界は、一部の大御所芸人の、面白いつまらないの価値基準に支配されている」

「日本の芸人には、思想性・政治性を感じる骨太のバックボーンがない」

「権力者を批判して、笑いを取るスタイルは皆無」

「差別や偏見をネタに、笑いを取るスタイルは皆無」

 爆笑問題・太田光の反発に対して、「安倍首相を批判するだけじゃ、コメディとして今ひとつ物足りない」

「日本のお笑い賞レースは、進歩と多様性を感じない」

「日本の地上波テレビは(バラエティー番組は)、当たり障りのないことばかりしている。もう、終っている」

 

 これが茂木氏の、日本のお笑いと地上波テレビ批判、その一連の発言です。分かりやすくするため、分解したり、簡略したりしているので、正確ではありません。ニュアンスの違う面があったら、申し訳ないですが、完全な間違いはない(茂木氏の発言ではないことはない)はずです。

 

 茂木氏の発言の多くは、ツイッターでのもので、どうしても、言葉足らずになってしまう面は否めないと思いますが、その部分を差し引いても、後で論争の分が悪くなった時に、「誤解があった」では済まされないものがあると思います。

 

 しかし、すでに茂木氏は、誰かとの対談で「素人が口出しするようなことではなかった。反省している」と、白旗を上げ、その後、何人かの芸人や識者が、茂木氏の発言について触れても、ノーコメントか、「お手柔らかに」的な反応しか、しなくなってしまったようです。

 

 茂木氏が出演してきたテレビ番組や、出版してきた本、ツイッターやその他のメディアの発言を調べてみればみるほど、この人は「その分野において、明らかな素人でありながら、何でも首を突っ込んでみる」ことで、今の高い知名度を獲得したのに、今更「素人が口出し・・・反省している」なんて言われても、これまでの自分の成り上がり法を否定する、矛盾した発言でしかないと思います。

 

 また、茂木氏は、「大御所芸人」、「メジャーな芸人」が、一体、誰を差しているのかを明らかにしていませんし、「地上波の当たり障りのない番組」が何なのかも、「進歩・多様性のないお笑い賞レース」が何なのかも、それを何回くらい観てそう思ったのかも、「お笑いの国際水準って何?例えば、最も高水準なのは外国の誰?」なのかも、「日本の政治的最高権力者である安倍首相を批判しても物足りないなら、一体、誰を批判すればいい?安倍夫人の方?」なのかも、「なぜ、政治風刺はお笑いのジャンルとして、最上位にあると考えているのか?」についても、教えてくれません。

 

 茂木氏は、自分が的にした人たちと議論するための情報、つまり、自分の発言の根拠を明かさないまま、「日本のお笑い、日本の地上波テレビは終っている」なんて、失礼な断言をして、分が悪くなった、思ったほど、自分を援護してくれる人もいなかったし、世間的な評判も良くないようだ、と判断すると、「反省している」と、白旗を上げてしまうのは、いかがなものでしょう?

 

 茂木氏は、アメリカのテレビ番組を観て、いちコメディアンが、リスクを恐れず、自国の大統領、世界の最高権力者を批判している姿を観て、胸が熱くなったそうですが、茂木氏が、今や日本の大衆レベルでは、政界よりも影響力を持っているお笑い界に対して、何だかんだ言って、未だに日本のメディアでは、最も影響力を持つ、地上波テレビに対して、立ち向かって行く姿を観て、胸が熱くなった人がいたとしたら、対決の発端である人から、勝手に梯子を外されてしまって、一体、どうしたらいいんでしょうね?

 

 尤も、茂木氏の発言は、日本の昔ながらのインテリの伝統芸を引き継いで、日本と外国(特に欧米)と比較して、明らかな違いがあると、それを日本の個性(長所)とは考えず、反射的に改善点(短所)と捉え、「だから、日本は駄目なんだ!」と、誰も頼んじゃいないのに、憂いたり、憤ってみせたりしただけで、それこそ、テレビやお笑いに対する深い考察や、一貫したブレない思想性や政治性のもとに、発言したのではないでしょう。

 

 ところで、かつて茂木氏が地上波テレビの某バラエティー番組で、「ただの間違い探しをして、当たったらアハ体験、脳が活性化します」というコーナーをやっていたと記憶しているのですが、あれはバラエティー的(お笑いジャンル的)には、何番目なのでしょう?もちろん、一番は「政治風刺」なのでしょうが・・・二番?もし、茂木氏が本気でそう考えているのだとしたら、もっとアハ体験をして、脳の活性化に励んだ方が良いと思います。

 


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