詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

わろてんか(第37回~第38回)、珍しく、笑えるシーンもあるものの、相も変わらず、設定は甘い!

 

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 NHK・朝の連続テレビ小説「わろてんか(第37回~第38回)」は、寄席を手に入れた、てんと藤吉が、その名前を付けるのに悩んだり、開店準備(人集め、備品集め)に四苦八苦・・・そして、季節は春となり、二人の寄席「風鳥亭」は、何とか、初日を迎えたものの、好調な滑り出しとはいかない中、芸能への造詣も深い、伊能が風鳥亭にやって来るという、あらすじなのですが・・・この「わろてんか」の裏テーマでもある、「ドラマの御都合主義とは、一体、どこまでなら許されるのか?」という実験は、第7週に入っても、なお、継続中、日に日にエスカレートしている模様です。

 

 とはいえ、物語が寄席の経営になって、笑いの手数が増えて来て、人によっては、思わず、クスリと、笑ってしまうシーンも、増えてきている感じもします。

 

 これまで、ほぼ、失笑しかなかった、「日本一の、名前負けドラマ、わろてんか」に、遅ればせながら、やっと、微笑できるシーンが、出てきただけでも、大変な進歩かと思われます。

 

 

 それでは、そんな、「真っ暗闇の中、一筋の光明も射している(かも知れない)」、わろてんか(第37回~第38回)の、筆者の率直な感想です。

 

 

「先週の放送では、藤吉が、『座布団はああしよう、提灯はこうしよう』と、寄席の内装や外装について、夢を膨らませていたのに、今週になったら、座布団などの、備品については考えてなかった(少なくとも、忘れてた)って・・・違和感しかない!」

 

「藤吉は、寄席の収容人数を、百人程度と考えているようだが、実際は、立ち見させても、五十人程度しか、入らないように見える」

 

「啄子が、北村の名前を使わせない理由が、よく伝わってこない。おそらく、てんの実家から、金を借りているうちは、あの寄席は、自分たちのものではない、という意味なのだろうが、『北村の名は、使わせまへんで!』という、彼女の高飛車な言い回しが、その真意を、分かりにくくしている」

 

「料亭が潰れたところで、座布団にしたって、湯飲みにしたって、ただ同然で、手に入る訳がない。また、てんと藤吉には、その、ただ同然の資金すら、ないはず」

 

「岩さんが、『太鼓もらって来ましたで』って、さらっと登場して来たけど・・・普通だったら、『岩さん、タダで、太鼓を手に入れるの巻』で、一話作れる?」

 

「藤吉が考えた、夕方から始まる、約三時間の二回公演というスケジュール、仲間のいろもの4人に、連れて来た落語家4人では、最初から無理、せめて、二時間の三回公演で始まって、芸人側から、不満が出て、二時間の二回公演にするような、話にしないと・・・」

 

「万丈目が、てんに、下足番とお茶子の心得について、教えるシーン・・・客の席を詰めるための練習、『すんまへーん!』で、てんが万丈目に体当たり、しかし、揺るがない万丈目・・・同じことを延々やるよりも、最後は、てんが助走してぶつかり、万丈目を転がして、彼が『それや!』か、『客やぞ!』と声を張り上げ、オチをつけるべきかと思ったが・・・オチもないのに、延々とのパターンも、一周回って、アリかも?」

 

「万丈目の店で、てんが、色々と手伝ってくれた、芸人たちに、お酒を一杯、ご馳走、自分たちの引っ越し祝いの時は、『お茶け』だったのに・・・」

 

「自宅で、寄席の名前が決まった直後、藤吉がてんの手を握り、キスしようとし、てんも目をつぶって、それを待つ(結局、啄子に邪魔される)・・・何故、このタイミングで、急にキス?」

 

「啄子が、質に入れていたという、自分の着物を出して、サイズを直し、てんにプレゼント・・・結局、ひとつ言えることは、このドラマの脚本家は、金銭にまつわるエピソード作りが、下手だってこと!」

 

「寄席の名前は『風鳥亭』、おそらく、このドラマのモチーフ、吉本と言えば『花月』だから、花鳥風月の残りを取って、この名前にしたかと思われる、珍しく、ちゃんと理由のある設定(ネーミング)だと、感心していたら、あさイチの有働アナが『(てんが、根付けの)鈴を振ってるから、すずふり亭かと思った!』とコメント、上には上がいると、言わざる得ない」

 

「風鳥亭の初日・・・いつの間にか、季節は、冬から春に!寄席を手に入れたくらいの頃から、三ヶ月は経過している?だったら、てんと藤吉が『運転資金を貯めるため、懸命に働く』みたいなシーンを、ちょっと、挟んで置くだけで、視聴者の印象も、もっと、良くなっただろうに・・・」

 

「風鳥亭の、外装、内装、楽屋、事務室に、あれだけのものを揃えるのに、一体、いくらかかった?と、頭によぎらないのは、おそらく、脚本家と製作統括を始めとする、わろてんかのスタッフだけでは?」

 

「知らない、三味線のおばさんまで、雇ってるし・・・」

 

「てんに、『すんまへーん!』で、体当たりの本番が・・・前にスペースがあるんだから、これから座る客に、そこへ座ってもらえば、良かっただけでは?」

 

「てんの『すんまへーん!』のくだり、歌子の座布団引きも、悪くはないけど、あの巨体の客に、『席を詰めろってことやろ?口で言えば、分かるで』と言って欲しかった気も・・・」

 

「藤吉が、いつの間にか、高そうな懐中時計を持っている・・・てんには着物、藤吉には懐中時計で、啄子からのプレゼントみたいな、エピソードを作れば良かったのに」

 

「藤吉が連れて来た、和泉家玄白を演じた役者、『自分では、落語が上手いと思い込んでいるけど、実際は、下手な師匠の演技』が、本当に上手かった!わろてんかのキャストの中で、ここまで真剣に、役作りをしてきたのは、この人が初めて?」

 

「和泉家一門が抜けて、舞台に上がる芸人が、いろものだけになってしまった、風鳥亭に、お客は一人だけ・・・この人の『また、同じ芸人、また、同じ芸人、また、同じ芸人、アカン、アカン、アカーン!』と叫んで、寄席から、逃げ出すシーン、不覚にも、笑ってしまった」

 

「客が居なくなってからも、しばらく、芸を続ける、後ろ面の万丈目・・・あくまで、私個人の好みですが、しばらくではなく、最後までやって、振り返って、頭を下げたところで、てんに『さすが、万丈目さんやわ、お客さん、一人もいてへんのに、最後まで』と言わせて、万丈目が『嫌みか!見えてたら、やめてるわ!』と、怒らした方が良かったかと・・・」

 

 

 今回のように、「芸人たちの芸が、未熟だから、つまらない」という設定なら、別に、こんな(第38回の)感じで、構わないと思いますが、「芸人たちの芸が、上達して、客にウケている」という設定で、このクオリティーでは、視聴者は納得しない(ネットは大炎上)かと、思われますが・・・果たして、このドラマの脚本家の吉田智子さん、今後の寄席の中身、期待しても、大丈夫なのでしょうか?

 

 尤も、滑ったら滑ったで、期待通りでしかないんですけど・・・。