詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

第11回「半分、青い。」は、泣く時を見つけられなかった鈴愛が、律の前で泣きじゃくる!


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 NHK・朝の連続テレビ小説「半分、青い。」の、第11回を観た感想です。


 そのあらすじは、左耳の聴力を失った、鈴愛に対し、弟の草太が、豚の貯金箱を壊してまで、グルグル定規を買ってくれたり、律が、左耳に耳栓をすることで、彼女の病気を理解しようとしたり、晴が、和子から、気休めに過ぎないかも知れない、薬を紹介してもらったり、みんなが、鈴愛のことを気使っていた・・・鈴愛は、渡し舟のおじさんと仲良くなり、自分の左耳が、もう、聞こえないことを話すと、偶然にも、彼の亡くなった奥さんも、戦争時の空襲で、片耳が聞こえなくなったことを話してくれる・・・おじさんと舟に乗っている鈴愛に、晴が迎えに来て、何かを叫んでいるが、鈴愛には、それが聞きとれない、おじさんを介して、その内容を知り、「やっぱりな、そう思った」と鈴愛が言うと、「以心伝心(心が通じ合っている)」と、おじさんは感心する・・・夜、晴は、寝室で、左耳が聞こえなくなってしまった、鈴愛のことを考え、「代わってあげたい、あの子に申し訳ない」と、泣いてしまう・・・学校の体育の授業で、身体のバランス感覚が、おかしくなっている、鈴愛が、平均台の上を渡らされる、その直前、律が機転を利かし(女性教師相手に、ヤモリ!と騒ぐことで)、そのピンチを救う・・・学校の帰り道、川の前で、流木に座る、鈴愛と律、耳鳴りではなく、本当に(自分以外にも)、聞こえているような気がした、鈴愛が、律に、顔を近付けてもらい、確認してもらうが、「聞こえないけど」と言われ、「そうか、鈴愛だけか」と、寂しくなった彼女は、左耳が聞こえなくなってから、初めて、涙をこぼす・・・律「うちのお母さん、鈴愛は、泣かないから偉いって」、「泣く時がなかった。泣く時を、見つけられなかった。鈴愛が泣くと、みんな泣く。つくし食堂が、泣き虫食堂になってまう。鈴愛が泣けば、泣き虫のお母ちゃんが、余計に泣くに決まっとる」と言いながら、大きな声を上げて、泣きじゃくる鈴愛・・・彼女の左耳が聞こえなくなり、気を使っているのは、周囲の人間だけではなく、鈴愛本人もだった・・・という内容です。



 それでは、「半分、青い。」の第11回の感想ですが、鈴愛を気使う周囲の人間のエピソードから始まり、船頭との会話で、片耳の聴力がないのは、自分だけではないことと、「以心伝心」という言葉を鈴愛に教えて、晴と仙吉の、鈴愛に対する、「出来ることなら、代わってあげたい」という思いも描き、学校では(社会では)、みんながみんな、障害のある鈴愛のことを、気使ってくれる訳ではないことを描いたうえで、でも、助けてくれる人(律)がいることも描く、そして、家族の前でさえ、泣かない鈴愛が、律の前では、泣きじゃくることで、2人の特別な関係性を強調し、最後に、成長した鈴愛の解釈で(永野芽郁のナレーションで)、この時の自分の心境を語る・・・という、前回同様、よく練られた構成で、良かったと思います。


 鈴愛が、船頭に話した、「律のうちは、トンビがタカを生んだ。私のうちでは、カエルの子はカエル」という台詞は、おそらく、優秀な律と、優秀とは言い難い鈴愛が、将来、逆転することを、この時点で、予兆するものかと・・・。


 本当に、この「半分、青い。」の幼少期は、神話的な感じ(川とか、風とか、糸電話など)があって(未来を象徴するヒントとなっていて)、つくづく、興味深いものになっていると思います。


 鈴愛の障害のことを、知っているはずの、女性教師の迂闊さは(バランス感覚がおかしくなっている生徒に、平均台をやらせるのは)、ネット上では、批判の的となっているようですが・・・ドラマ上では、「律は、鈴愛にとって、頼りになる存在」であることの塗り直し(強調)に使われた、アシスト役であり、国語のテストの時と同じく、律のキャラクターを、格好良く描くための、犠牲者と言えるでしょう。


 最後に、「1980年、9歳になった秋、私は左耳の聴力をなくした。私の世界は、半分になった。私は、生き物として弱くなった・・・」という、今回の終盤のナレーションに対して、「片耳の聴力を失うことは、本当に、自分の世界を半分、失うことと言えるのだろうか?」と疑問を抱く人がいるようですが、どうなんでしょう?


 少なくとも、筆者には、このナレーションの台詞が、実際、片耳が聞こえないらしい、このドラマの脚本家の、北川悦吏子氏の、何らかのナルシシズムから生まれたものだとは、とても、思えないのですが・・・。



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(本ページの情報は、18年4月時点のものです。最新の配信状況は「U-NEXTサイト」にて、ご確認ください)