詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

今更ですが、三島由紀夫「不道徳教育講座」を、お勧め(紹介)する記事です!


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 不道徳について語れる者は、道徳について考えている者である。つまり、道徳を知る者である。本当に、不道徳な者は、道徳について考えたことがないので、道徳と不道徳の境界を、意識していない。ゆえに、悪いことをしてしまう。


 この本のタイトルが、「不道徳教育講座」と言うだけあって、各エピソードのタイトルも、「大いに嘘をつくべし」、「弱い者をいじめるべし」、「女には暴力を用いるべし」、「痴漢を歓迎すべし」などと、無茶苦茶なものばかりだが、言うまでもなく、作者の三島は、明らかに、真面目な道徳家であって(少なくとも、その気質は)、どんな不謹慎なテーマも、読み終えてみれば、見事な「道徳論」に仕上がっている。



 少し話が逸れるが、筆者は、三島の小説が、さほど好きな方ではない。好きなのは、この作品のような、軽い読み物の方である。そして、もっと好きなのは、誰かが書いた、三島の人生についての、評伝の類である。


 三島は、彼について語る人たちから、よくこんなことを言われる。

「三島の文学は、文体や構成に、こだわり過ぎて、形式ばっていて、余裕とユーモアが足りない。しかし、普段の三島自身は、本当に、ユーモアのある男だった」


 三島は、おそらく、文学と日常を、明確に区別していた(そして、その区別は、何故か、三島文学から、ユーモアをなくした)、また、自分の書いたものが、文芸誌に載るのか、雑多な週刊誌に載るのかで、区別・・・というより、差別していたように思える。


 この「不道徳教育講座」は、「週刊明星」という、三島から、差別されていた(少なくとも、軽んじられていたであろう)側のメディアで、連載されていたものである。


 しかし、それが、文芸誌に小説を書く時の、全てを計算し尽くそうとする、真面目で神経質な三島ではない・・・いかにも、リラックスした状態で書いたことが分かる、普段の「ユーモアのある」彼が、縦横無尽に、大暴れしている。



 新潮文庫あたりで、何冊か、三島の小説を読んで、「つまらない」と断じてしまった貴方にこそ、私は、この「不道徳教育講座」を、お勧めしたい。


 特に、「人に迷惑をかけて死ぬべし」、「醜聞を利用すべし」、「流行に従うべし」、「スープは音を立てて飲むべし」、「死後に悪口を言うべし」、「日本及び日本人を誉めるべし(逆説に逆説を重ねて、公平全うな正論に持っていく、結論が見事!)」、「小説家を尊敬するなかれ」、「おわり悪ければすべて悪し」などは、筆者のお気に入りのエピソードである。



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