詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

ある異色の曲芸師、ピエロのゾンビ

 

ピエロのゾンビ、玉乗りをする

 

ピエロのゾンビは

見た目も凄いが、異臭も凄い

全身に、蝿がたかっている

 

しかし、見世物として

大衆の目をひくらしく

 

かなり、遠巻きだが

結構、人は集まる

 

ピエロのゾンビが

玉乗りに挑戦する

 

大体、約三十秒くらいは

上手く乗りこなせていたが

腐った足の裏のせいで

滑って、倒れて、地面に叩きつけられ

その衝撃で、首がとれてしまった

 

彼は激怒し、八つ当たりで

玉を思いっきり、蹴ろうとしたが

目が見えないものだから

間違って、自分の首を、蹴ってしまった

 

慌てて、それを拾いに行く

ピエロのゾンビ

 

その姿は、とても滑稽だが

観衆はみんな

悲鳴を上げたり

嘔吐をしたり、気絶したり

大混乱で、とても、笑える状況ではない

 

 

ピエロのゾンビ、皿回しをする

 

ピエロのゾンビは

見た目も凄いが、異臭も凄い

全身に、蝿がたかっている

 

彼は以前、玉乗りをやって失敗し

自分の首がとれるという

大失態を演じてしまった

 

それゆえ彼は、玉乗りなんてやめて

皿回しをすることにした

 

今日も、かなり遠巻きだが

多くの見物人が集まっていた

 

ピエロのゾンビは

右手に、棒を持ち

左手に、皿を持ち

「これぞ、世界的伝統芸能!」

と、大きな声で言った後

皿を放り投げ、棒の先で受け

器用にクルクルと、皿を回し続けた

 

観衆から、まばらな拍手が起きた

ピエロのゾンビは、不満だった

 

皿をもっと、早く回転させてみた

すると、彼の手首が、あっさり取れて

皿も落ちて、割れてしまった

 

観衆は、大笑いした

 

ピエロのゾンビは、深く傷付いた

そして、感情を昂らせ

今度は、左手を使い、棒を槍のようにし

全力で、観衆へと投げた

 

一緒に、左手首まで、飛んで行った

 

慌てて、それを拾いに行く

ピエロのゾンビ

 

その姿は、とても滑稽だが

観衆はみんな

悲鳴を上げたり

嘔吐をしたり、気絶したり

大混乱で、とても、笑える状況ではない

 

 

ピエロのゾンビ、腹話術をやる

 

ピエロのゾンビは

見た目も凄いが、異臭も凄い

全身に、蝿がたかっている

 

彼は以前、玉乗りや皿回しという

反射神経が問われる芸を披露し

大失態を演じてしまったことから

自作の呪いの藁人形を使い

腹話術をやることにした

 

今日も、かなり遠巻きだが

多くの見物人が集まっていた

 

ピエロのゾンビは

呪いの藁人形のワーラーちゃんと

折り畳み式のパイプ椅子に座って

こんなやり取りを始めた

「ワーラーちゃん

 今日は、いつもより

 素敵なお客様が多いね」

「そんなことないよ

 ジジイとババアばかりだよ」

「なんて口の悪い、ワーラーちゃんだ」

「みんな、もうすぐ死ぬよ、運命だよ」

「やめなさい、縁起が悪い

 

「縁起が悪いのは、お前の存在だ!」

と、観衆から、無礼な野次が飛んだ

 

ピエロのゾンビは、激怒して

すぐに、立ち上がり

ワーラーちゃんなんて、お構いなしに

パイプ椅子を、自分の頭上に持ち

観衆に向かって、放り投げようとしたが

そのまま、腰の骨が折れ

上半身、下半身、真っ二つとなった

 

その姿は、とても滑稽だが

観衆はみんな

悲鳴を上げたり

嘔吐をしたり、気絶したり

大混乱で、とても、笑える状況ではない