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詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

バケツかぶり族の未来

 

バケラッティ・ファミリーは

港の空いている倉庫で

家賃も払わず、勝手に居座り

身を潜めるような、暮らしをしていた

 

妻、バケリーナが

「また、バケツかぶり族が

 警察官に射殺されたわ」

と、どこかで拾って来た、新聞を見て言った

 

「容疑は何だ?」

と、バケラッティが訊いた

 

「容疑なんて後付けよ

 しいて言うなら

 みんな、バケツかぶり罪でしょうね」

と、バケリーナが

珍しく、気の利いた皮肉を言った

 

その傍では、二人の子供の

長女、バケルンナ

長男、バケレノン

次女で末っ子の、バケロリーザが

こんな童謡を、楽しく唄っていた

 

「バケツは、すこぶる役に立つ

 太鼓にすれば、役に立つ

 

 発汗作用、ストレス解消、痴呆を防ぐ

 

 とにかく、バケツは、役に立つ

 すこぶる、すこぶる、役に立つ

 

 みんな並んで、脳天叩けば

 文明開化の音がする

 

 みんな並んで、脳天叩けば

 文明開化の音がする

 

 さあ、皆さん、ご一緒に!

 

 みんな並んで、脳天・・・」

 

「くだらない歌は止めろ!」

父、バケラッティが怒鳴った

 

末っ子は泣いたし、長女は慰めたし

長男は反抗したし、母はそれを諫めた

 

そして、父、バケラッティは

こんな真面目な話をした

 

「文明って何かね?

 何の罪もない人間が

 ただ、バケツをかぶっている

 それだけ・・・それだけで

 裁判すらさせてもらえず

 警察官に射殺される

 そんな国に、文明なんてあるのかね?

 野蛮そのものじゃないか!

 

「お父さん!」

 

家族全員が

バケラッティのもとに駆け寄り

抱き合って、涙を流し続けた

 

 

バケツかぶり族は

このまま、迫害され続けるしかないのか?

 

それは、誰にもわからない

 

バケツかぶり族の、存在意義とは何か?

 

それもまた、誰にもわからない