あの鳥、太陽に、キスしようとしている
私は、ある天才的な博士の
素晴らしい本を手に入れ
その内容を、すぐに実践してみた
走る、とにかく、走る
つまずく
倒れ込んだまま、這って移動する
なるべく速く、休みなく、移動する
虫に変化する
そんなこと、馬鹿げている?
酷い本だって?
確かに、ずっと、虫として
這いつくばって生きるのは
誰にとっても、嫌なものだろう
でも、この虫には、羽根があって
博士の記述によると
なんと!
宇宙、そして太陽まで、飛べるとのこと
「早速、飛ぼう、何処までも!」
と、虫になった私が
羽根を拡げた瞬間
誰かに、踏み潰された
爪先で蹴られ、地面を転がった
衝撃・・・何が何やら、わからない
痛み・・・体が、大変なことになっている
意識・・・もう、遠のくばかり
あ・・・空・・・・・あ
あの鳥、太陽に、キスしようとしている!