犬男~前世の記憶~
前世が犬の男がいた
どういう訳か、その時の記憶が
体にしみついていて
誰かに「お手」と言われると
手を差し出してしまうし
誰かに「お預け」と言われると
目の前に、大好物があっても
体がピクリとも動かないし
誰かに「楽な姿勢になって」と言われると
四つん這いになってしまうし
誰かに、フリスビーを投げられると
追いかけてしまうし
ふと「尻尾がないのは寂しい」と思って
腰のあたりを、ジッと眺めたりする
そして、誰かに「チンチン」と言われると
思わず、パンツとズボンを下ろし
その股間のあるものを
迷わず、披露してしまうが
これは、前世の記憶というより
彼の現世の、悪癖である