詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

神と天使の階級の違い

 

怪力天使は

巨漢で、腕力自慢

 

天国で一番強い、と

他の天使たちに、評判だった

 

それを聞いた神様が

「天国で一番強いだって?

 天使の中では、一番なだけだろう」

と、不機嫌な顔をして言った

 

そして、神様は

自宅の宮殿の中庭に

急遽、土俵を作らせ

 

天使を数人、証人として呼び

怪力天使と、相撲を取ることにした

 

「はっけよい、のこった」

行司役の天使の掛け声と、ほぼ同時に

 

神様は、怪力天使に

あっさり、投げ飛ばされてしまった

 

怪力天使は、紳士らしく

土俵の下の神様に、手を差し伸べた

 

神様は、酷く自尊心を傷付けられたようで

その手を、思い切り、払いのけて

 

「お前、体重何キロ?」

と、何を今更な質問をした

 

「百二十キロくらいは、ありますけど」

と、怪力天使は、不思議そうに答えた

 

「階級でいうと、スーパーヘビー級ね

 ちなみに、私はミドル級だからね」

と、神様は、言い訳がましい話をした

 

そして、自分の部屋へ戻り

しばらく、引き籠ってしまった

 

その後、怪力天使は

神様から、約五十キロの

過酷な減量を命じられた

 

その理由は、表向き

天使が、余りに太っていると

イメージが悪いから

ということになっているが

 

大半の天使は

「神様は、怪力天使を弱らせてから

 もう一度、相撲を取る気だ」

と、神様の真意を見抜いている