詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

今更ですが、サン・テグジュペリ「星の王子さま」を、お勧めする(感想を語る)記事です!


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 乗っていた飛行機が故障し、砂漠に不時着した飛行士のところに、遠い星からやって来たという、少年(王子さま)が現れる・・・少年は、小さな自分の星に咲いた、一輪のバラの花との、ちょっとしたいざこざから、故郷を後にし、色々な星を旅していた・・・自分は権力者だと思い込んでいるが、実際は、何の権限もない「王様の星」、自分は他者の称賛を受けるべき価値があると思い込み、誉められることばかり望む「自惚れ男の星」、酒を飲むのが恥ずかしいから、酒を飲むことで気を紛らわしている「酒飲み男の星」、意味のない仕事をして、その忙しさを誇る「実業家の星」、続けても仕方のない、慣習にとらわれ、1分に一度、ガス灯を点けたり消したりする「点灯夫の星」、自分では引きこもりのような生活をしながら、他人の話を聞いて地図を作る「地理学者の星」、少年は、これらの星に立ち寄ってから、地球へとやって来た・・・少年は、地球で、飛行士と出会う前に、ヘビやキツネなどと遭遇し、ヘビからは「いつか、君が、自分の星への思いが募った時には、私が助けてあげよう」と意味ありげなことを言われ、キツネからは「肝心なことは、目に見えないんだよ」と教えられる・・・やがて、飲み水が一滴もなくなった、飛行士と少年は、砂漠で井戸を探しに行き、ただの穴ではない、滑車や桶のある、人工的な井戸を、奇跡的に発見する・・・少年が、地球に降りた場所の真上に、彼の星がやって来る時、少年は、黄色い毒ヘビに咬まれて、砂の上に倒れる・・・少年は、そのまま、亡くなってしまったのか、こうすることが、自分の星へと帰る、唯一の手段なのか、それとも、まだ、生きて地球を旅しているのか、それは誰にも分からない・・・飛行士の方は、無理だと思っていた、飛行機の故障を、自分で修理し、同僚たちの前に、無事、生還してから、6年経っても、少年のことを思い出し、彼の行方を気にしている・・・。



 音楽朗読劇「星の王子さま(サン・テグジュペリ)」を、ロハコで!



 記事タイトルに、「お勧め」と書いて置きながら、矛盾しているかも知れませんが、筆者は、この「星の王子さま」が、そんなに、好きな方ではありません。


 ただ、欧州一の文学大国・フランスを代表する、超一流作家(サン・テグジュペリ)の、「自伝的告白」とも、「晩年の人生哲学」とも、「詩の書かれていない詩集」とも言われる、世界的な名著であることは、間違いないので、一読の価値があるという意味で、お勧めしている次第です。


 私は、子供らしい感性が足りないのか、ただ、あらゆる感性が鈍いだけなのか、いつ、この「星の王子さま」を読み返しても、あれやこれや、ケチをつけたくなるばかりで、純粋に、娯楽(童話)作品として、楽しめたことなど、一度もありません。


 例えば、まず、あの主人公の少年は、「どうして、王子さまってことになっているのか」とケチをつけたくなりますし、他にも、「ところで、星と星の間は、どうやって移動したの?」とか、飛行士が「(大人たちの無理解のせいで)画家になる道を諦めた」という話も、「お前が画家になれないのは、お前に才能がないから」としか思えないですし、6つの星に住む、滑稽な大人たちも、極端過ぎて、「大人って変だな」と思う少年に対して、「大人に対する、偏見が入ってるからね」と反論したくなりますし、キツネの名言「肝心なことは、目に見えないんだよ」についても、「目に見える、肝心なこともあるんだよ」とか、「目に見えない、肝心なことを、何かに投影することで、伝えることも出来るんだよ」と、反論したくなります。


 少年とキツネの会話の中にあった、友達を作ること(世界で唯一同士の関係性を築くこと)のコツ、あるいは、その別の言い方が「飼い慣らす」というのも、違和感しかなく・・・まさに、キツネの言った通り、「言葉は誤解のもと」といった感じがします。



 それでは、最後になりますが、主人公の少年が、いざこざの末、自分の小さな星に置いてきた、一輪のバラに対して、「ぼくが、バラのために費やした時間の分だけ、バラは、ぼくにとって大事なんだ」、「飼い慣らしたものには、いつだって、責任がある。ぼくは、ぼくのバラに責任がある」、「あの子は弱いし、世間知らずだし、世界に立ち向かうのに、役立たずの4本のトゲしかない」と気付き、故郷の星が恋しくなる、少年のことを、バラ(作者の妻がモデル)は一体、どう感じるものなのでしょうか?


 少なくとも、現代に生きる、精神的にも、経済的にも、自立した、大人の女性の場合、「大きなお世話、思い上がりも甚だしい!」と感じる人が、大半かと思われますが・・・。