詩と寓話とシュールレアリスム

タイトル通りのテーマです。シュールな詩と寓話を書きます。たまに、ブログの話やテレビの話、日常生活にあったことを書こうとも思います。

使用上の注意

海から上がって シャワーを浴びて ドライヤーはあるけど 電源がない時 私は、発電クラゲを使って 髪を乾かします まず、発電クラゲを捕獲します 次に、どこでもいいから 発電クラゲの身体の一部に ドライヤーのプラグを しっかりと、挿し込みます 発電クラゲ…

神の悪戯で生まれたような魚

骨魚は、生まれた時から 身も内臓もついていない 大きな頭と、尻尾があるだけ 外見は、魚の食べ残しのよう まな板の上に乗せられた 骨魚は、「なぜ、私を?」 という、不思議そうな目で 料理人を見つめる しかし、不幸なことに この骨魚の目玉こそが 食通た…

定説がひっくり返るかも知れない話

背面蛙は、背泳ぎしかしない 地面にいる時も、ブリッジしながら歩く だから、蛙の癖に 思いっ切り、ジャンプしても たかが知れている 人間がイタズラ心で ひっくり返すと 慌てて、すぐに体勢を戻し 真っ白い腹部を これでもか、と突き出してくる 実は背中に…

もうすぐ、不眠姫が眠り姫になる

不眠姫は眠らない 眠れば、誰かが 自分の悪口を言うに違いない そう思い込んでいるから 絶対に眠らない 不眠姫ときたら とにかく、眠らないものだから いつも、イライラしている ちょっとしたことで 家臣を解雇したり 使用人を檻に閉じ込めたり 時には、処刑…

閉ざされた王様の記憶

王国から追放されて 狂ってしまった王様は 今じゃ、自分の頭の中すら 支配出来なくなった 王様は、いつも 隣国の貧民街の路地裏で 威風堂々、何をするでもなく 捨てられた、ぼろソファーに座っている 何故か、王冠だけは まだ、頭の上に載っている 憐れと思…

神様にも、わからないことはある

ある時、天国で 天使が、神様に 「鶏が先か?卵が先か?」 という、質問をしました 神様は、ちょっと考え込んでから 「忘れてしまった」と答えました 天使がしつこく 「思い出してください」 と、迫りました 「うるさい、私は今 それどころじゃないんだ!」 と、神様…

インテリ王子の明るくない未来

インテリ王子は 頭に、王冠ではなく 電球を載せている いつ何時でも 名案が浮かんでいるように 思われたいかららしいが 国王も女王も インテリ王子が 本当にインテリだとは 思っていない 実際、インテリ王子の 頭上の電球が光った時 「何か名案でも?」と訊い…

王位継承したものの

居眠り王子は 父の死にともなって 居眠り大王となったが とにかく毎日 二十時間以上、眠るので 内政、外交、ともに 大した仕事は出来ず まさに政治が、眠りこけた状態となり この機に乗じて 隣国が攻めて来て 領土の半分を失い 求心力を落としたところで 軍…

一族揃って、天使失格

落ちぶれ天使と うらぶれ天使は 双子の兄弟である 父親は、飲んだくれ天使 母親は、愚痴まみれ天使 兄は、どん底天使 姉と妹は、典型的な堕天使である 中でも、末っ子の 大麻取り締まられ天使は 神様から「今度やったら、一生刑務所だ!」 と、警告されていた…

たとえ、神に、罰されても

自惚れ天使は、美しい まるでラファエロの絵画から 飛び出して来たようである ちなみに、自惚れ天使の趣味は 自分の全身を、四方の鏡で眺めること 口癖は、「僕、天国一美しい」である しかし、そんな思い上がった天使を 放って置くような、神様ではなかった …

砂の城の暴君

砂の城が崩れてゆく それも一気にではなく、微妙に 住人たちは ポロポロと崩れ、溜まっていく 砂をかき集めて、どうにかこうにか 城の破損部分を、修繕していくが 人手が足りず、城はところどころ ただの砂と化している 王様は、いつも怒ってばかりで 仕事の…

たまに傷

白い犬の天使 翼を羽ばたかせ 青空を駆け巡る その姿は、誰が見ても、美しい 白い犬の天使 地上に舞い降り 崖の上で、休憩している その姿は、誰が見ても、美しい しかし、白い犬の天使の 好きな食べ物が 市販のドッグフードというのは 興醒め、としか言いよ…

完全なガムではない

ガム蛙を口に入れて 噛んでも ミントの香りがするだけで 甘くはない 甘くはないが ちょっとした口臭消しにはなるので 捕獲して、小瓶に数匹入れて 飼って置くと、便利である 餌は、言うまでもなく ミントの葉である ガム蛙は、さんざん噛んで 吐き出すと 酷…

私は蟹になりたい

私は蟹になりたい 蟹になって、啄木と砂浜で 彼が納得するまで、戯れてみたい 右へ、左へ 素早く、横移動して 時には、円を作って また、時には泡を吹いて また、時にはチョキを出して 泣き濡れている啄木を 心底、楽しませてやりたい 私は、蟹になりたい

悲劇の法則、逃れられない悲惨な最期

カエルの上にカエル 延々と積み重なるカエル まるでカエルタワー 634匹を超えると 一番下のカエルが 重みで破裂する それでもカエルなんて 低能なものだから 何も気付かず、まだ乗る 一番下のカエルは 破裂し続ける カエルは、634匹以上 積み重ねてはいけない

氷担当大臣と一般官僚

氷担当大臣! 氷女は、このまま 溶けてしまいたいそうです うむ、了承するとしよう 氷担当大臣! 氷男は、いっそ 何かで、叩き割って欲しいそうです うむ、了承するとしよう 氷担当大臣! 氷子供は、出来れば 北極か南極に、留学したいとのことです 氷省の予…